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もともとオスは、取っ組みあいをする頻度が高い。
Bがおもに調べているのは、ラットの馬桃である。
扇桃は「逃げるか、戦うか」の反応を瞬時に行なう場所で、人間の場合、思春期を迎えた男の子の扇桃は、女の子より成長が速いことをGが確かめている。
この馬桃のなかでも、Bがとくに注目したのは内側扇桃と呼ばれ分で、空気中を伝わってくるフェロモンに反応するところだ。
Bは大学院生のB・Cと協力して、ホルモンと性フェロモン、それに遊びかたが、ラットの脳や行動を変えるという興味深い事実を見つけた。
もちろんその逆もあるという。
Bたちがまず驚いたのは、テストステロンを使えば、ラットの扇桃の大きさを変えられることだった。
精巣を除去されたラットは、内側馬桃が小さく縮んでしまうし、メスにテストステロンを注射すると、扇桃は50パーセントも大きくなった。
しかし行動や環境要因だけで、脳の組織が変わったりするだろうか?疑問に思ったBは、思春期のオスを個別にケージに入れて、取っ組みあいができない状態にした。
内側扇桃があまり大きくならなかった、神経細胞が小さいままだったのだ、こうして育ったオスは、性行動を刺激するフェロモンにも反応が鈍くなった。
つまりこういうことだ。
行動がホルモンの分泌量と脳の組織を変え、その脳の構造が行動を変えた。
人間の脳は相互作用がとても強い。
だから人生の途上のいかなる経験もあなどってはいけないとブリードラヴは考える。
胎児期に浴びるホルモンがペニスを形成する。
生まれた子どもはペニスをもっているというだけで、もっていない子とは異なる経験をするだろう。
それがホルモン分泌や脳の構造、さらには行動も変えていく。
構造=行動とか、ホルモン=行動などといった単純な話ではなく、あらゆる要因がリングのなかで押しあいへしあいしているのだ。
「脳は、人間のエンジニアが作るような構造になっていない」とBは言う。
「胎児期のテストステロンが舞台を整え、身体成熟期になるといくつか出し物が始まる。
しかしその出し物も、途中の経験によって筋書きが変わっていく。
一匹の動物がこの世に誕生してから、生殖という新しい役割を発揮するまでのあいだには、実に多くのことが起こっているのだ」。
17歳のS・Oが、まだ寝ぼけまなこで朝一番のマーケティングの講義に出席したとき、それは起こった。
季節は秋で、冷えびえとした狭い部屋に集まった学生たちが自己紹介をすませると、教師は講義を始めた。
製品配置とか、そんな話だったような気がする。
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